『日本型「企業の社会貢献」』の出版に当って

山岡義典(法政大学教授・日本NPOセンター副代表理事)

誰もが誰かがしないといけないと思いつつも、なかなか誰も手をつけないという仕事が、この世の中にはたくさんある。企業の社会貢献に関する体系的な著述も、そのひとつであろう。私自身、かなり以前からその必要性を痛感して何度か着手しようとしながら、いつも構想倒れに終わってきた。知的耐力の不足のせいで、せいぜい断片的なエッセー程度でお茶を濁してきたと言ってもよい。
そのような、私がとっくにあきらめた仕事に、青木さんが月刊誌『公益法人』への掲載を通じて本気で着手されたのを知り、これはかなわんと思いながらも、毎号楽しみに読んできた。それがちゃんと完結し、今回、大幅に充実されて一冊の本になった。時機を得た快挙と言ってよい。
企業の社会貢献の現場にある人らしく、実務の視点もしっかり踏まえながら広範に資料を収集し、その文脈を整理しながら静かな情熱をもって解説する。この方法は誰にも分かりゃすく、好感がもてる。ジャーナリスティックな論に溺れることなく、学者の難解な論文とも実務家の主観的な体験談ともひと昧違うスタイルで、読者に「考える糧」を与えてくれるのだ。企業の社会貢献という世界は結構深いものだということが、読み進めるうちに次第に分かってくる。
「企業の社会貢献」という言葉は、本書にも触れられているように、「コーポレート・フイランソロピーCorporate Philanthropy」の訳語である。そうとう思い切った訳で、私なども当初はかなり違和感をもっていたが、十数年経?っちに日本独自の意味内容をもっ言葉として定着した。だからもはや、企業の社会貢献H欧米のコーポレート・フイランソロビーのこと、と考える必要はなくなった。社会とは何か、貢献とは何かを、初めから日本社会の独自の文脈の中で考えればよいことになる。おそらく本書は、そのような意味での「企業の社会貢献」の最初の体系的な文献になるだろう。この分野の動きを歴史意識の底から説き起こすことで、とかく表面的な関心に終始しがちな議論が、深みのあるものに育っていくことを期待したい。

おススメ会社設立セット

  1. 店舗販売最安レベル9,800円!会社設立印鑑3点セット(柘植)

    ※通信販売は行っておりません。
  2. 会社設立センター・起業家応援パック

    会社設立・起業家応援パック(司法書士+税理士)まとめて頼む=とってもお得な起業家応援パッ...
  3. 会社設立ブランディングセット

    せっかく開業した貴方の法人、告知やご案内は、終了していますか??「会社設立ブラン...