(3)lSO規格と企業の社会的責任

現在、ISO理事会の指示によって作られた諮問、グループが、二OO二一年三月に開催された理事会の承認を受けて、企業の社会的責任の規格化を行うことを正当化するための前提となる、専門的報告書の原案作成に当っているようである。ISOが標準化を行う上で検討すべき重要な項目は次のようなものである。

<1>企業(あるいはその他のいかなる組織も含む)の社会的責任の遂行方法の原則をどのように考えるか。
<2>それはまたどのような領域を対象とするのか。
<3>さらに、社会的責任は、数値目標の達成を求めるものかあるいはマネジメントのプロセスの改善に焦点を当てるべきか。
<4>結果の評価は自ら行い公表するのかそれとも第三者が評価するのか。
諮問、グループが上部機関に提出した説明資料等によれば、上記の項目に対する考え方は下記のようにまとめられる(注8)。
<1>について(社会的責任遂行の原理・原則)
・(最低限対応すべき項目として)関係する法規制の遵守の徹底
・上記には、法規以外で経済的、環境的および社会的側面について記述されている自主的なコミツトメントを含む
・ステークホルダーの関与
・説明責任
・倫理的行動
・文化的多様性の尊重
・持続的発展の一環

<2>について(社会的責任の対象・範囲)
・人権
・職場および従業員関連の問題(労働安全衛生も含む)
・贈賄、競争的制限行為を含む不正行為
・ガパナンス
・環境側面
・市場および消費者の側面
・地域貢献
・社会的開発の側面

ここで明らかにされているように、ISOによる社会的責任の概念の特徴はその対象・範囲の中に、「地域貢献」と「社会開発」即ち社会貢献を包含していることである。私は前章で、「サンクシヨンを行使する主体が国家以外で、企業の反社会性あるいはその恐れのあるものに対する社会的規範が制度化(多くの人によって正当性が承認されている)されているか、制度化が期待されるがまだ国民的なコンセンサスの裏打ちがない領域」を狭義の企業の社会的責任と呼び、この狭義の社会責任に加えて、「国家権力が法規範、契約規範に基づきサンクションを与える領域」を含むものを広義の社会的責任と呼んだ。ISOの場合は、広義の社会的責任の範囲はさらに拡大されている。「自己規制、つまり行動主体の倫理、道徳心に委ねられる領域、反社会性を問われない領域」についても、社会的責任の中に加えようとしており、いわば最広義の社会的責任概念を打ち出そうとしているということができる(図3参照)。

<3>について(数値目標かプロセス重視か)
・マネジメント・システム・ガイドライン規格が望ましい(プロセスを重視)

<4>について(自己評価か第三者評価か)
・自己宣言基準として使用し、第三者認証としては使用しない

このような考え方がそのまま理事会で承認され、これらの原則の下にISOの社会責任規格が制定されるかどうかは不明であるが、大筋はこの原則に沿って流れていくものと思われる。

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